熱中症と断熱レベル

日本の夏は高温多湿

「暑い」とは汗が上手に蒸発できず、汗が蒸発するさいに、まわり=体皮の温度を奪う気化熱の働きによる体温低下が上手にできないことです。湿度が低いほどこの効果の効率は上がります。

ところが、この国の夏は平均で70%と湿度が高い。空気が湿気を吸い上げてくれる余力は30%程度しかなく、そもそも湿っていて十分に余裕があるとは言い難いのです。

表1

梅雨から秋にかけての月別平均湿度(%)

2010年

2012年

2012年

3年平均値

6月

67

71

73

70

7月

70

67

75

71

8月

67

71

69

69

9月

68

68

73

70

10月

68

61

65

65

(気象庁webサイトデータを加工)

そのため、汗の気化熱による冷却がうまく働かず、体温を下げることが難しく、熱中症にかかる恐れが高いのです。

湿度が高ければ発汗による冷却効果は望めなく、熱中症にかかるリスクが高まる。

 

建物内が危険とは情けない

平成24年6月1日から9月30日までの4ヵ月間に、東京都全体では、熱中症(疑いを含む)で3168人が救急搬送されています。(東京消防庁光が丘消防署サイト内データ)平成23年同時期では4040人。60歳以上の方が全体の半数近くを占めており、年齢が高いほど症状が悪く、発症場所は建物内が4割をしめます。

【発症場所と年代別 熱中症による搬送】

出典元:東京都南多摩保健所サイトから引用

 

熱中症 暑さ指数WBGT

温度と湿度の関係は、誰でもが知っている「不快指数」として評価する方法や、「暑さ指数WBGT」は熱中症対策予防に使われています。WBGTはISO7243で定められた国際規格であり、作業者がその環境において受ける熱ストレスの評価方法です。本来特殊な温度計を用いて求めますが簡便な方法としては下の表から求めることができます。

日本生気象学会指針によれば、25以上で熱中症の警戒が必要となり、28以上は「外出時は炎天下を避け、室内では室温の上昇に注意」、31以上は「高齢者なら安静状態でも熱中症を発症する危険性が大きい」としている。

温度基準
(WBGT)

注意すべき
生活活動の目安

注意事項

危険
(31℃以上)

すべての生活活動で
おこる危険性

高齢者においては安静状態でも発生する危険性が大きい。
外出はなるべく避け、涼しい室内に移動する。

厳重警戒
(28~31℃※)

外出時は炎天下を避け、室内では室温の上昇に注意する。

警戒
(25~28℃※)

中等度以上の生活
活動でおこる危険性

運動や激しい作業をする際は定期的に充分に休息を取り入れる。

注意
(25℃未満)

強い生活活動で
おこる危険性

一般に危険性は少ないが激しい運動や重労働時には発生する危険性がある。

出典:日本生気象学会(2013) 日常生活における熱中症予防指針Ver.3より

日本体育協会指針によれば、WBGT31以上では皮膚温より気温の方が高くなるため、運動は中止することとしている。

表1から夏の時期の平均湿度は70%と読み取れますので、25度を超えると危険であることがわかりまし、適切な湿度は40%から60%の間とされていますので、仮に中間の50%で設定すると、室温は28度を超えないように維持できれば安全内であり、少なくても31℃を超えることがないようにすべきであることがわかります。

目標とすべきは室温28℃、湿度50% これを超えないような断熱計画

 

熱中症 HeatIndex

暑さ指数WBGTにと同じように湿度と温度を用いる評価方法には、アメリカ国立気象局が採用「ヒートインデックス」があります。「ヒートインデックスは体感温度として表示するので、誰でもが容易に数字の意味をイメージできる利点があります。

体感温度 レベル 体への影響
54℃以上 非常に暑い 熱中症が非常に起こりやすい
41度―54℃ とても暑い 日射病やけいれんが起こりやすい。長時間身を置くと熱中症にかかりややすい。
32度―41度 暑い 長い時間身を置くと日射病やけいれんが起こりやすい。
27度-32度 とても暖かい 長時間身を置くと疲れやすくなる恐れがある。

 

表によれば、室内は26度湿度55%以下であることが望ましく、30度湿度50%を超えないように断熱を計画すべきであることがわかります。

 

その環境づくりを支えるのが「断熱(材)」

熱中症のリスクを考えると、たとえ35度を超えるような夏の炎天下であっても外気の熱を遮蔽し、室内は28度(湿度50%時)を超えない環境になるように、お部屋の環境を整える必要があります。断熱材はそのために使われるモノです。

断熱材にはさまざまな材質がありますが、断熱材はA(屋外)からB(室内)に伝わる熱量(スピード)で客観的(数字)に並べて評価することができます。

つまり、最高室温さえ何度にするのか計画してしまえば、どの断熱材をどれだけの量を使えば、室内の壁や天井の温度を希望する温度以上に上昇させないようにできるのか計算して求めることができます。

断熱は「省エネ基準仕様」、「エコ住宅仕様」などではなく、「エアコンなしで28度を超えない家」などのように、具体的な数字で計画すべきです。

断熱材はその目的である「断熱性能」を定めてあげれば、グラスウール、ウレタン、ロックウール、セルローズファイバーなど材質はなんでもよく、必要になる量が違うだけです。あとは自然素材であるとか、薄くできるとか、燃えにくいなど何で優劣をつけるのかはお客様と相談しながら決めればよと考えます。